季節の節目に、ふと思うことがあります。
「運がいい人」と「なぜかうまくいかない人」の差は、才能や環境だけでは説明できない、と。
筆跡術書道家の斑(MADARA)として私は、長年「書く」「描く」という行為を見つめてきました。先日お読みいただいた文章でも触れた通り、私たちは日常的に文字を書く時、無意識のうちにその人なりの特徴、いわゆる「クセ」を出しています。ここに、見えないけれど確かな手がかりがあります。
筆跡診断とは何か。
これは、総合的な人間教育を目的とする感性総合研究所を設立され、図解幸せを呼ぶ「筆跡術」著者の鈴木則子先生の本に書かれている事を私なりに理解し、筆跡術書道として実施している事になります。
それは、書かれた文字の一つひとつの特徴を心理学的に分析し、書いた人の性格や考え方、行動の傾向を読み取る「筆跡心理学」です。ここで大切なのは、性格は“頭の中の設定”ではなく、「行動として表に出るもの」だという点です。せっかちに見える人は、切り替えが速く機敏に動く。おっとりに見える人は、丁寧に時間をかける。文字は、その行動も痕跡として残ります。
そして、ここからが「へー、そうなんだ」のポイントです。
筆跡診断においての、性格やこれまでの行動を「当てるため」のものではなく、未来を「変えるため」に使うのが筆跡術です。
多くの人は、筆跡診断を“自分を知る”道具として捉えます。もちろんそれも価値があります。でも筆跡術は逆方向です。
「書き方を意識的に変えることで、心の向きや行動の質が変わり、結果として未来の流れが変わる」
私はこの考え方を、書道の実践と重ねて確信するようになりました。
たとえば、文字が小さく縮こまりがちな人は、日々の判断でも遠慮や萎縮が起きやすい。逆に、必要以上に強く押しつけるような筆圧の人は、無理をして頑張り続ける癖が出やすい。もちろん単純に決めつけるのではありません。けれど「自分のクセ」が紙の上に現れるのは事実で、しかもそのクセは“変えられる”のです。
だから私は、こう言いたい。
「幸せを呼ぶ筆跡術」は、願い事の呪文ではありません。行動の調律です。
幸せになりたいなら、筆跡を変えてみては?
これは精神論ではなく、きわめて実用的な提案です。なぜなら、筆跡を変えるには「手を動かす」必要があるから。手を動かすと、意識が動きます。意識が動くと、行動が変わります。行動が変わると、人間関係も仕事の選択も、日々の決断の質も変わっていきます。つまり、筆跡は“結果”であると同時に、“入口”にもなれる。
私の筆跡術書道は、一発書きです。取り繕えません。けれど、一発書きだからこそ、その瞬間の心と呼吸が正直に出る。そして、正直に出たものは、正直に整えられる。私はここに、祈りや生命線のような力を感じています。
難しく考える必要はありません。まずは一つだけ、自分で決めてみてください。
「今日は、丁寧に書く」
「今日は、伸びやかに書く」
「今日は、焦らずに書く」
たった一つの方針で十分です。毎日書く文字の中で、少しずつ筆跡を整えていく。すると不思議なことに、心のざわつきが減り、自分の中心が戻ってくる感覚が生まれます。
幸せは、遠い場所から“降ってくる”ものではなく、日々の小さな行動の積み重ねとして“立ち上がってくる”もの。
その最小単位が「文字」なのだとしたら、筆跡術は、誰にでもできる幸せの習慣です。
あなたは、今日、どんな筆跡で生きますか。

