[number-0000003] 作品名:夜に宿す紅 サイズ:F15 価格:¥280,000

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作品イメージ

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作品の世界観

『夜に宿す紅 ― 愛と筆跡術の融合 ―』

作者:MADARA

夜とは、静けさと余韻が深まる時間帯です。昼の活動がひとまず終わり、外界の喧騒が沈むとき、私たちの心は自ずと内面へと向かいます。墨色はその夜の深みを体現する色であり、人が夜に抱く思索や静かな灯火を感じさせたいと私は考えています。その静寂の世界に、紅色をひそやかに溶け込ませることで、作品はただの文字を超え、観る者の内部に響く情緒と願いを映し出します。

この作品では、墨汁をつけた筆に紅色を絡ませ、線を走らせました。墨の沈みと紅の揺らぎが交錯し、夜と愛が一つの呼吸として重なります。紅色は情熱の色でありながら、夜の中でこそ、その温度が浮かび上がる静かな光となります。夜の静けさを破らず、むしろそこに寄り添うように、愛の色がそっと宿るのです。

「赤」という色は、情熱を象徴する色であると同時に、人の心を穏やかにする効果もあると言われています。近年の研究では、「赤い光が睡眠導入を助ける可能性」が報告されています。赤色の波長は、眠りを促すホルモン「メラトニン」を抑制しにくく、青い光のように脳を覚醒させる作用が少ないとされます。たとえば、夜に淡い赤い光を灯すことで、心拍数が落ち着き、自然な眠りへと導かれるといった報告もあります。(参照:calm.com)

そしてこの静けさを感じる事ができるのも、色々な出来事があるからこそ。その出来事は、はじけた墨や金墨で表現しました。

そして、この作品を単なる美的表現にとどめず、願いを込めたものとするために、筆跡術書道アーティストである私は筆跡術の技法で仕上げました。筆跡術とは、文字を書くときに無意識に現れる筆跡のクセを、心理学や統計的観点から分析・応用する技術です。文字の線・はね・払いなどに願いを込めて書くことで、ただ書く文字から「運気を高める文字」へと昇華させる術と言われています。

筆跡術は、単なる字の形の操作にとどまりません。「どのような形をどの方向にはらうか」「起筆・送筆・収筆をどう扱うか」などの意図が、文字に運の質を呼び込むとされます。文字には才能運、華麗運、健康運、金運(他)などを込めることができ、その要素を組み合わせて一つの文字に複数の願いを宿すことも可能となります。

私がこの「愛」の一文字に込めたのは、華麗運と健康運という二つの願いです。

  • 華麗運(カレイウン):文字の左方向への払いを長く伸ばす、上方へはらうなど、内面から放たれる輝きや注目を浴びる性質を与える筆跡。華やかさ、存在感、魅力を引き出すとされます。
  • 健康運(ケンコウウン):文字の跳ね上げを強めに書くなど、生命力・持久力・回復力といった要素を高める筆跡として扱われます。

参照:KANJI TOKYO -漢字東京-筆跡術とは

この二つを添えることで、愛とは外から映えるだけの華やかさではなく、内側から健やかに生きる力を支えるもの、というテーマを込めたかったのです。つまり、夜の静けさの中で揺れる紅は、ただ美しく漂う幻想ではなく、心身を支える温かさであり、光でもあるのです。

実際に筆を動かすとき、私はまず華麗運を意識しました。文字の左払いを伸ばす角度や勢いに変化をつけ、線に伸びやかな流れを与えます。次に、健康運を意識して跳ね上げを強く、最後まで気を抜かず収筆を引き締めます。こうした工夫が、文字の中に静かな力や安心感を宿らせ、単なる形ではなく「気」の流れを感じさせるものになると信じています。

こうして書かれた「愛」は、夜の中に柔らかく揺らぎ、観る者に静かな共鳴を生みます。墨と紅が交わる線は、夜という時間に生きる呼吸のようです。その中に「華麗運」と「健康運」が潜むことで、見る人はただの視覚的な印象を超え、作品とともに願いとエネルギーを受け取るのです。

筆跡術を取り入れたこの書道表現は、技術と祈りの融合とも言えるものです。画一的な字形をなぞるだけではなく、書き手自身の祈り、思い、運命観が文字に流れ込み、線となって紙上に現れます。まさに、文字という媒介を通じて、願いを込めた「愛」が夜の静寂に音を立てず響くのです。

さらに、この作品には和の心を重ねたいと願いました。紅色は古来、日本文化において生命や祝福、品格を象徴する色です。しかし、そこには常に自然や気配との融合が含まれています。華やかさに溢れながらも、誇張しすぎず風に馴染むような調和の美を宿す色です。その紅を墨に溶かすことで、この一文字「愛」は、日本の伝統性と先進性を同時に併せ持つ存在へと昇華します。

この作品を通して観る人に伝えたいのは、こういうメッセージです:

夜の静けさは、感情を深め、思いを静かに映す鏡である。
その中に紅を灯すことは、ただの存在を光と温もりへと変える行為である。
さらに、華麗運と健康運を込めた筆跡術によって、表面的な輝きではなく、内なる力と健康を支える愛を宿すことができる。

一人ひとりが、この作品と向き合うとき、夜の静寂に取り込まれた「紅」が、心の余白に小さな灯火をともすことを願っています。それは、眠る前の祈りかもしれません。
その灯火が、あなた自身の中にある紅でもあり、愛でもあるように。

制作秘話

一度では思いが表現に見合わなかった

話:MADARA

この作品は、一度で完成したものではありません。
ウッドキャンバスに和紙を水貼りし、乾かしてから一発書き
思うような線の流れが出なければ、和紙を丁寧に剥がし、また新しい紙を張り直す。
その作業を、13回繰り返しました。

一度書くごとに、墨と紅が異なる呼吸を見せます。
墨が勝つと紅が沈み、紅が勝つと夜の深みが失われる。
そのわずかな均衡を探しながら、筆先に宿る感情と紙の吸いを感じ取る。
筆が走る一瞬の迷いも、乾く間の息づかいも、作品の一部として残っていきます。

13度目の書に至るまで、私は「完成」ではなく「納得」という境地を探していました。
一発書きの緊張と、修正の効かない瞬間の真実
そこに、夜の静けさの中でしか生まれない生命の線が宿るのです。

また、この作品では、黒の墨、紅の絵具、そして金墨、金泥墨(きんでいぼく)を用いました。
金泥墨は、金粉を溶かして作られる特別な墨で、書の中に光の気を流し込むもの。
作品の中で、墨の沈みと紅の揺らぎのあいだを漂う金の粒は、
まるで夜空を漂う星のように、静かに呼吸をしています。

それは、愛が決して一色ではないことを示しています。
静寂の中に情熱があり、闇の中にも光がある。
そして、そのどちらもが欠けることなく寄り添ってこそ、
真の「愛」が成り立つのだと、想いを込めながら書き上げました。

漢字の意味

愛」と言う漢字の持つ意味は?

  • 根本的な意味
    人や物事をいとおしみ、大切に思い、守り育てたいと願う心。
  • 感情の幅
    恋愛や家族愛だけでなく、友情・慈愛・自己への愛・自然や芸術への愛など、
    相手を尊重し、見返りを求めない温かい気持ちを広く含みます。
  • 動詞的ニュアンス
    古語では「いつくしむ」「大切にする」「かわいがる」というニュアンスも強く、
    現代より行為的・保護的な側面がありました。

作品詳細

項目内容
作品ベースウッドキャンパス
メイン素材木材、和紙
サイズF15 25.7in(652mm) × 20.9in(530mm)×0.98in(25mm)
使用画材墨汁、アクリル絵の具
作品の仕上げ木製キャンパスの上に、和紙(書道用紙)を貼り、アクリル絵の具の紅色と、墨汁の混合で仕上げています。
国内外配送対応について・海外出荷対応可能:運送会社に指定が無ければFedExにて出荷
・日本国内の配送:運送会社に指定が無ければヤマト運輸にて出荷
出荷時の梱包について簡易包装や重包装など、ご要望に応じた梱包も対応させていただきますので、詳しくはお問い合わせください。
送料についてアート作品対応運輸を使う、保険をかけるなど、購入者と要相談のうえ決定します。
作品の補償について作品は、販売時の状態そのままでのお引き渡しとなります。美術品保険等のご希望がありましたら、ご相談も承ります。
お支払の方法作品価格+保険料(オプション)+送料が、お支払価格となります。お支払はカード決済がご利用いただけます。

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